Concert

SETAN JAWA

『サタンジャワ』とは、ガリン・ヌグロホ監督による「エクスパンデッド・シネマ(拡張映画)」のコンセプトの元、生演奏付きで上映するために作られたサイレント映画です。2017年2月のオーストラリア・メルボルンでの海外初公演を皮切りに、シンガポール、アムステルダム、ベルリンといった世界各都市で、その地の楽団とのコラボレーションによる公演を成功させてきました。いよいよこの夏、この日本公演のために全編新しく制作された音楽・音響と融合させ、サウンドデザイナー・森永泰弘と、「水曜日のカンパネラ」として個性的かつ実験的な音楽活動を展開するコムアイとの共演により、立体音響コンサート版を初披露します。

A Widow in Batavia

『A Widow in Batavia(バタヴィアの未亡人) 』は、17世紀に長崎で生まれた日蘭混血女性のコルネリア・ファン・ネイエンローデ (Cornelia van Nijenroode)をテーマにした作品。大航海時代のアジアの島嶼部で使用された「じゃがたら手紙」やマレー語による伝統詩「パントゥン(Pantun)」のテクストを扱い、環境音や弦楽四重奏、ピアノ演奏を重層的に扱いながら立体音響装置を駆使したアンサンブルのコンサート作品である。

Anabiosis Passage

『Anabiosis Passage』は、インドネシアにおける音楽文化(伝統音楽・大衆音楽・現代音楽)をメディア・テクノロジーにより先駆的な音楽プロダクションとして創造するコンサートである。本作は、音楽監督の森永泰弘が参加する現代舞踊作品『To Belong』(振付家の北村明子による作品)から誕生したものであり、森永が携わったインドネシアでのフィールド・ワークを通じてレコーディングした音や現地で出会った音楽家をフィーチャーしたユニークな共同音楽制作の作品である。 インドネシアのガムランやクロンチョン、ヒップホップに加えて現地の環境音を扱いながらインドネシア固有の文化を現代の側から解釈している。インドネシアの楽器・奏法・説話をモチーフに、メディア技術を扱い現代の儀礼空間を音楽コンサートという形式で創造した作品が『Anabiosis Passage』である。 本作は、クロンチョン歌手のエンダ・ララス、インドネシアのヒップホップ界を先導するジョグジャ・ヒップホップ・ファンデーションのリーダーであるマルツキ・モハメド aka Kill the DJ (Jogja Hiphop Foundation)、そして2014年1月に死去した国民的パフォーマー、人形遣いのスラマット・グンドノの音声を扱いインドネシアの音楽文化を新たなステップへと迎え入れるコラボレーションが実現している。日本からは森永が音楽監督とエレクトロニクスの役割を担い、弦楽四重奏とピアノを招聘し伝統と現代を交錯し日本とインドネシアの二国間を挟む新たな音楽文化の発信を実現した作品である。