Field recordings

Sombat Simla: Master Of Bamboo Mouth Organ

Simla is known in Thailand as one of the greatest living players of the khene, the ancient bamboo mouth organ particularly associated with Laos but found throughout East and Southeast Asia. His virtuosic and endlessly inventive renditions of traditional and popular songs have earned him the title ‘the god of khene’, and he is known for his innovative techniques and ability to mimic other instruments and non-musical sound, including, as a writer for the Bangkok Post describes, ‘the sound of a train journey, complete with traffic crossings and the call of barbecue chicken vendors’.

Exploring Gong Culture Of Southeast Asia

This project, Massif and Archipelago, is a field recording project initiated by Japanese sound artist Yasuhiro Morinaga, documenting traditional gong music by different Southeast Asian ethnic groups. The project aimed to examine the impact of the natural and social environment on the gong music culture of Southeast Asia. During the project, he visited over 50 different ethnic groups and made hundreds of recordings. This album presents a selection of the unique gong music from different ethnic minorities. The selected music has been divided into two broad sections: one focussing on the music from the Massif, i.e. mainland Southeast Asia (Central Highland of Vietnam and Northeast Cambodia), the other on music from the Archipelago, maritime Southeast Asia (the Luzon Islands of the Philippines, Borneo, Sulawesi, and the Flores Islands of Indonesia).

Gong Culture of Southeast Asia「Co-Ho」

コホ族はモン・クメール語系に属しており、ベトナム中部高原地帯の南部に居住しています。本作はベトナムのラムドン省にある二つの集落で収録したゴング音楽になります。コホ族はアニミズムを信仰しており、生活におけるあらゆるものが神霊(Yang)と悪霊(Cha)に分けられるといい、音楽と儀礼が密接に関係している民族だといえます。今回、録音するために訪問したある家では、ゴングを演奏する際に神霊(先祖)に演奏の許しをもらうための儀式を行なっていました。この儀式では、酒壺の中に入った木屑を部屋のあちこちの壁にくっつけ、演奏者たちが神霊(先祖)に祈りを告げていくというものでした。この儀式の後に、2つのゴングを交互に演奏していく即興によるゴング音楽(トラック1)は素晴らしく貴重な録音だったといえます。また、彼らが演奏するゴングの数は2つ、3つ、4つ、5つ、6つと多岐にわたっており、インターロッキングによる奏法を使った見事な演奏でした。今回レコーディングさせていただいたコホ族のある民家では、頻繁に演奏者同士が集まって練習すると言っていましたが、もう一つのゴングの演奏グループは、新メンバーが加わり、練習時間もろくになかったために満足いく演奏ができたのは数曲だけだったと残念がっていました。その数曲がトラック6と7になります。

Gong Culture of Southeast Asia「Bahnar」

ベトナム中部高原地帯の北東部と南部に居住するバナ族は、モン・クメール語系に属する民族です。本録音は、サウンドデザイナーの森永泰弘が、2017年の5月と8月にベトナム中部をフィールドワークした際に記録した音源となっています。バナ族のゴング音楽は、主にフラットゴングとコブ付きゴングの両方を使い音楽を奏でます。ゴングは8~9つで1セットになっており、そのなかの6つがフラットゴング、残りがコブ付きゴングを使用します。儀礼や祝祭のときには編成が20(フラットゴングが10でコブ付きゴングが10)または22(フラットゴングが11でコブ付きゴングが11)に及ぶこともあるようで、主にフラットゴングがメロディー、コブ付きゴングがリズムを担い、インターロッキング奏法を使った演奏を行います。水牛供儀・葬式・収穫祭などの音楽を、彼らから記録させていただきました。バナ族の人たちは、ゴングを演奏する際、近所に生えている木枝をとってきてナイフで幹の部分を削り、それを撥にゴングを打ち鳴らしていました。しかし、大きなコブ付きゴングを叩いている方だけは、ジャックフルーツの実を撥に使ってゴングを打ち鳴らしていたのがとても印象的でした。ベトナム中部の少数民族にとって、ゴングは生活と密に関係した大事なシンボルであり、この音源もそんな彼らの気持ちが詰まったアルバムになっているといえるでしょう。

Gong Culture of Southeast Asia「Ede-Female」

ベトナム、ダクラク省に居住しているエデ族の中で、唯一女性たちだけでゴングを演奏するグループ、エデ・ビー族のゴング音楽。本作は彼女たちのゴング音楽を5曲(竹笛アンサンブルによる曲が一つ)収録しています。女性の乳房を示すコブ付きゴングのみを使った演奏は、倍音豊かな音色が重層的になりながら共鳴しあい、短いフレーズが反復されていく音楽です。

Gong Culture of Southeast Asia「Ede-Male」

エデ族の男性たちによるゴング音楽のフィールドレコーディング。テンポが速く、野性味溢れる音色は、エデ族の男性アンサンブルならではのスタイルだといえます。演奏は平らに削げ落とした木枝の撥でコブのないフラットゴングの表面や裏面を打ち鳴らしながらリズムやメロディを組み立てていきます。また、エデ族はゴングの他に竹楽器のチン・クラン(Cing kram)の演奏も得意としています。普段の生活において、ゴングは神聖なものなので使用ができません。そのため、ゴング演奏の練習楽器としてチン・クランを使用します。

He Xiu Dong(Dongba Shaman) [Lijiang, China]

世界で最も少数民族が多いと言われている雲南省(中国)は麗江に居住するナシ族の宗教聖職者ことドンバ(Dongba)、ホー・シュー・ドン(He Xiu Dong)による経典の詠唱と儀礼を数回にわたって現地録音した作品です。ドンバはナシ族特有の象形文字による経典を詠唱し、儀式を通じて精霊と対話する特異な存在です。森永は、現地での聞きこみ調査を行いながらトンバのホー・シュー・ドンと出会い、屋外・室内・自宅の3回にわたりレコーディングを行いました。

Slamet Gundono [Surakarta, Indonesia]

Yasuhiro Morinaga presents Field Recording Series Slamet Gundono [Surakarta, Indonesia]
インドネシアはジャワ島のスラカルタで活動するパフォーマーのスラマット・グンドノとフィールドレコーディングした作品です。スラマット・グンドノはジャワ島を代表するパフォーマー、音楽家、影絵師。インドネシアの伝統文化を探求しながら独自のユーモアと風刺で、物語の事実/虚構を混ぜ合わせながら現代社会の様相をユニークな音楽として歌うユニークなアーティストです。森永とグンドノは2011年に公演された振付家である北村明子のダンス作品『To Belong』で知り合いになって以来、幾度となくコミュニケーションを交わし、今回のレコーディング・プロダクションにたどり着きました。二本のマイクロフォンでグンドノの歌声と楽器、そしてクンダンやゲンデルといったインドネシアの楽器演奏を一回録り(グンドノの音楽はその日の彼の気分で音楽が全く変わってしまう)で実現させ、一切のポスト・プロダクションを省くことで、フィールドでの彼を取り巻いた環境を如実に表す作品となっています。

Endah Laras [Surakarta, Indonesia]

Yasuhiro Morinaga presents Field Recording Series Endah Laras [Surakarta, Indonesia]
インドネシアの大衆音楽クロンチョンの歌い手として、現地では「ジャワの歌姫」と呼ばれているエンダ・ララスの楽曲をフィールド・レコーディングした作品です。彼女の華麗なる歌声からインスピレーションを得た森永は、「エンダにとって最も思い入れのある場所」で録音を行おうと提案し、今は亡きエンダの父親が所有していたワヤン・クリ(影絵)の練習場をロケーションとして選び、フィールド・レコーディングしたアルバムになっています。